バイナリーオプションのみならず、投資ではよく酒田五法という手法が用いられます。
これは、ローソク足を分析する手法として有名であり、投資をするならば早々に覚えておきたい分析方法になります。
酒田五法をバイナリーオプション取引に活用することで、相場の理解も深まるでしょう。
今回は、この酒田五法について詳しく見ていきたいと思います。
１．酒田五法って何？
なんだかインパクトのある名前の酒田五法ですが、そもそもどういったものなのでしょうか？
ネット検索してみると、以下の情報を得ることができます。
江戸時代の酒田藩で米の先物取引で手腕を振るった相場師・本間宗久が考案したローソク足を使ったテクニカル分析手法。「酒田罫（ケイ）線」とも呼ばれます。ローソク足の組み合わせによる、「三山（さんざん）」「三川（さんせん）」「三空（さんくう）」「三兵（さんぺい）」「三法（さんぽう）」の5種類の分析方法を用いて、売り買いのタイミングを図る手法です。三山は、「三尊」とする場合もあります。
わかりやすい用語集 解説：酒田五法（さかたごほう）｜ラーニング｜三井住友DSアセットマネジメント
なぜ漢字なのか？という点については、これで理解できました。江戸時代に生まれた手法であるということは、大変驚くべきことです。また、現代でも取引に活用されているほど、長い間使われてきている手法であるということが、酒田五法は取引において大変有効性のあるものだと証明しているようにも感じます。
２．どんなメリットがあるの？
酒田五法を知っておくと、どのようなメリットがあるのでしょうか？
投資で分析の基本となるローソク足は、細かく上がり下がりを繰り返しながら、上昇したり下降したりします。
そのため、ただチャートを追っているだけでは相場の先行きを見極めることはできません。
しかし、ローソク足のチャートパターンをいくつか知っておけば、そのチャートパターンを見つけた時に、今後どのようにチャートが推移するか、ある程度予測がつきやすくなるのです。
酒田五法には、相場を判断するための材料となり得るチャートパターンがいくつも含まれています。それを覚えておくことで、相場の流れを分析しやすくなり、エントリーポイントが探しやすくなったり、エントリーのタイミングを計りやすくなるのです。
３．酒田五法のパターンを覚えよう
それでは、酒田五法の5種類の分析方法を見ていきましょう。
（１）三山（さんざん）
三山は、トリプルトップとも言われる、チャートが3つの山の形を成して、レジスタンスライン（上値抵抗性）にあたりながら最後は下降していくパターンのことです。
1つ目の山では、高値をつけたとしても抵抗線の力が強く反発し、もう一度高値を超えていこうとしますが、再度抵抗線で反発してしまったのが2つ目の山です。この2つの山形の場合は、ダブルトップと言います。
そして、ダブルトップを形成し、再度高値に挑戦するもブレイクアウトできなかった場合が、三山（＝トリプルトップ）となるのです。
三山が形成されると、高値に向かって進む勢いが無くなってしまい、上昇トレンドから下降トレンドへ転換しやすくなります。ダブルトップの際もトレンド転換の可能性は大いにありますが、三山（＝トリプルトップ）の方がさらに転換する可能性が高いという特徴があります。
三山は、3つの山の高さが同じでレジスタンスラインにかかっているものを言いますが、他に三尊という、山の高さが異なるパターンもあります。三尊は、別名をヘッドアンドショルダートップとも言います。
相場の見方としては三山と同じですが、2つ目の山の高さが一番高いのが特徴です。これは、2回目のチャレンジの際につけた最高値に、3回目のチャレンジでは届かなかったことを表わしています。つまり、上昇する勢いが失われてきていることが示唆され、下降トレンドに変化する可能性が高いと判断できます。
（２）三川（さんせん）
三川は、三山と反対の形を言い、別名をトリプルボトムと言います。
相場の動く方向が逆向きになりますので、サポートライン（下値支持線）にあたりながら3つの谷を作り出すパターンのことです。つまり、3回底値を超えることができず、上昇トレンドへ転換する可能性の高いパターンとなります。
そして、三尊の反対で2つ目の谷が一番低くなる形を、逆三尊と言います。3回目の安値が最低値に届かず、下方向への勢いが失われ上昇トレンドへと転換する可能性が高くなります。
前述した三山は、上昇トレンドから下降トレンドへの転換を示唆するパターンですが、三川は下降トレンドから上昇トレンドへの転換を示唆するパターンとなるのです。
（３）三空（さんくう）
三空とは、隣り合うローソク足が重ならない状態＝窓（空）を開けている状態が、3回連続で起きた場合をさします。窓を開けて推移するということは、それだけ相場の動きが勢いづいているということであり、価格の上がり過ぎまたは下がり過ぎを示唆しているため、トレンド転換のサインと捉えることができます。
パターンとしては、以下の2種類があります。
- 三空踏み上げ：4本のローソク足が連続して窓（空）を開けて上昇していく状態
- 三空叩き込み：4本のローソク足が連続して窓（空）を開けて下降していく状態
これらの状態を見つけた場合には、トレンドの反発が起きる可能性が高いため、トレンドの転換点を狙う逆張り手法でエントリーしてみましょう。
（４）三兵（さんぺい）
三兵とは、ローソク足の陽線や陰線が3つ連続して並んでいるパターンのことです。
陽線とは、始値に比べて終値が高かった場合に表示されるローソク足のことです。また、陰線とはその逆で、始値に比べて終値が安かった場合に表示されるローソク足をさします。
三兵にも、2種類のパターンがあります。
- 黒三兵（三羽烏）：高値圏で陰線が3本連続で並んでいる状態
- 赤三兵：安値圏で陽線が3本連続で並んでいる状態
相場の安値圏で陽線が連続して現れたり、高値圏で陰線が連続して現れた場合には、発生したトレンドが強めであると判断することができます。そのため、トレンドに沿ってエントリーを行う、順張り手法で狙っていくサインとして活用することができるのです。
（５）三法（さんぽう）
三法とは、相場の転換点であるか、それとも保ち合いが発生しているかを見極めることをさします。
相場に保ち合いが発生している場合には、頻繁に売買を行ったとしても、なかなか利益が出づらいため、取引を休止することも大切であるという考え方です。このように、相場を読み解く力を身につけることが、投資では重要だということです。
三法にもまた2種類のパターンがあります。
まず、上げ三法です。これは、ローソク足の大陽線の出現後、小さなローソク足をはらんで推移し、前回の大陽線の高値を抜けた場合に上昇トレンドが発生するパターンを言います。
この場合の小さなローソク足が推移している間を、保ち合い相場と言います。この期間中は、トレンドの方向性が分かりづらいため、取引は一旦休止した方が良いとされます。
そして、下げ三法です。これは上げ三法の逆を言い、大陰線の出現後に保ち合い相場を経て、下降トレンドへと移行していくパターンのことです。この場合も、保ち合い相場の間は取引を休止することが推奨されます。
４．酒田五法を使った取引方法
では、バイナリーオプションでは酒田五法をどのように活用して取引すれば良いのでしょうか？
酒田五法は、相場の転換点を示すパターンと、現在の相場状況を読み取るパターンがあります。
三山、三川、三空の3つは、トレンド転換のサインとして活用できるパターンとなり、トレンドの反発を狙う逆張り手法では、大変有効なパターンと言えるでしょう。
また、三兵においては、トレンド発生の状態を把握することができるため、順張り手法で取引することができます。
そして、三法ではトレンド相場かレンジ相場かを判断することができるため、エントリーチャンスか否かを見極めることができるのです。
このように、それぞれの特徴を活かし、バイナリーオプション取引で利用することができるのです。
しかし、活用する際に注意すべき点もあります。
酒田五法はそれぞれ別々にチャート上に現れるわけではなく、同時に現れることもあります。そのため、酒田五法のサインだけでは、トレンドが転換するか継続するか分からなくなることも起こり得るのです。
もしそうなった場合を見据えて、テクニカル指標を合わせて使うなど、他の判断方法も準備しておいたり、判断がつかない場合はエントリーを避けるといったことも検討するようにしましょう。
５．まとめ
酒田五法は、バイナリーオプションを攻略する上で、重要な手法の一つであることは確実です。
5つのパターン、三山、三川、三空、三兵、三法のそれぞれが、どういうものであるかをしっかり理解し、チャートパターンを覚えておくことにより、ローソク足を見る目が養われ相場の動きが予測しやすくなるでしょう。
もちろん、バイナリーオプションを攻略していくには、酒田五法だけでは分析するための情報が不足する場合もあります。そのため、これに他のインジケーターを組み合わせることが重要になります。そうすれば、根拠が強まり勝率の高いエントリーが行えるようになるでしょう。
まずは酒田五法をしっかり学び、続いて自身の取引手法に相性の良いインジケーターを見つけるようにしましょう。
投資では相場を理解し、どれだけ動きを先読みできるかが肝心になってきます。酒田五法をしっかり身につけておけば、バイナリーオプション取引の基本となるローソク足で、チャートの予測がつきやすくなるでしょう。
デモトレードを活用して、実際のチャートでパターンを見つける目を養っていただき、慣れたらリアルトレードでもぜひ活用してほしいと思います。