皆さんは、投資でよく使われるナンピンと呼ばれる手法をご存知でしょうか?
このナンピンは、バイナリーオプション取引においても有効とされ、世界中のトレーダーが活用しています。
しかし、よく使われる手法である一方、使う上で注意しなければならないポイントが多くあることも事実です。
今回は、ナンピンの基本的な使い方と注意点について見ていきたいと思います。
1.ナンピンって何?
ナンピン(難平)とは、主にナンピン買いのことを言い、株取引などで保有する銘柄の株価が下落した場合に、買い増しをして購入金額の平均を下げて損失を抑える方法のことです。
反対にナンピン売りという、信用取引で空売りした後に株価が上昇した場合に売り増しをして、売値の平均を高くする方法もありますが、「ナンピン」と言われたらナンピン買いのことを意味するのが一般的です。
具体的な例を出してみると、例えば1株1,000円で購入した場合に、その株価が800円に下落してしまったとします。そうすると、差額は200円で評価損は20%となります。そこで、1株800円で追加購入します。すると、購入金額の平均値は900円となり、評価損が見事改善されるというわけです。
ナンピンは、損失を減らすという点では、とても有効な手段として利用されているのです。
2.ナンピンを活用したバイナリーオプション取引方法
それでは、バイナリーオプションではどのようにナンピンが活用されているかを探っていきましょう。
バイナリーオプション取引で言うナンピン手法とは、エントリーしたポジションがあったとして、予測が外れてしまった場合に、前回のエントリーと同じ方向に再びエントリーすることを言います。
例えば、相場が上昇すると予測してHighエントリーした場合に、思った通りにならず相場が下落し始めてしまったら、価格の下げ止まりを見極めて再びHighエントリーを行う、といったことになります。
バイナリーオプションでナンピンを使うメリットの1つ目は、1ポジション目の負けを2ポジション目で取り返すことができるということです。
バイナリーオプションは、予測が外れるとエントリー金額をすべて没収されてしまうというルールです。例えば、ナンピンせず1,000円でポジションを取り、予測が外れると1,000円の損失を出すことになります。しかし、ナンピンを使ったとすると、1ポジション目で予測が外れたとしても2ポジション目を取ることによって、その予測が当たればマイナスは120円で済むことになるわけです。つまり、ナンピンをすることによって、2ポジション目で1ポジション目の損失をカバーすることができるのです。
メリットの2つ目は、エントリーポイントを分散することができる点です。
例えば、レジスタンスライン・サポートラインを引き、手前のラインにチャートが触れたらエントリーし、反発せず進んでしまったら次のラインでナンピンを仕掛けるといった使い方ができます。
しかし、勘違いしていただきたくないのが、エントリーポイントを複数に分けるということがベストではないということです。分散させるということは、負ける確率も同時に増やしてしまっているという側面があるということになります。数打てば当たるということではありませんので、あくまでも1ポジション目を取る時は、しっかり分析を行い根拠を持ったエントリーをすることが重要です。
メリットの3つ目は、期待値が上がることもあるということです。
その条件となるのが、相場の流れを読み取る力です。相場を理解して、冷静に判断できればナンピンをすべきポイントが見えてきて、うまく活用することができるでしょう。そうすれば、期待値が大きいポイントでエントリーすることができ、利益を伸ばすことも可能になるのです。
このように、株やFXと違いバイナリーオプションでは、利益や損失はエントリー時点で把握できるため、ナンピンをうまく活用すれば損失を減らせるどころではなく、利益を出すことも期待できるのです。
しかし、ナンピンを使う際には気をつけなければならない点がいくつもあります。
それを把握せずナンピンに手を出してしまうと、身を滅ぼすことにもなりかねませんので、次の章でしっかり頭に入れ込みましょう。
3.ナンピンを利用する際に気をつけること
(1)初心者が最初から手を出さない
バイナリーオプション取引を始めて少ししか経っていない人は、ナンピンで勝とうと思わない方が良いです。なぜなら、基本の取引ロジックがしっかりしていなければ、ナンピンを使っても利益が出せず、損失ばかり増やすことになるからです。
相場の動きが止まって反転するタイミングを、正確に予測することができなければナンピンは成功しません。つまり、ナンピンを活用するには、相場を見る目が必要だということです。
まだエントリーの根拠に自信が持てない、バックテストで勝率が安定していないといった方は、ナンピンに興味があっても自身のスキルが必要レベルに届いていないと自覚しましょう。そして先々チャレンジしたいのなら、まずは基本的な取引方法を使って経験を積むようにしましょう。
(2)何度もエントリーを繰り返さない
ナンピンは、自分で制限をかけなければ延々と取引をしてしまう恐れがあります。
つまり、よく危険性が指摘されているマーチンゲール法と同様に、間違えれば資金をあっという間に失ってしまう可能性のある取引方法なのです。
ナンピンは、予測が外れてから分析をする必要があるため、外れたという心理的な負担から、早くエントリーして損失を抑えたいという焦りが生まれやすいです。そのため、分析を怠って体感的なエントリーをしやすくなり、負ける確率を高めてしまいます。また、焦る気持ちから、予測が当たるまで何度も取引を繰り返してしまい、結果的に大きな損失を被ることになってしまいます。
投資で稼ぐためには、資金管理がとても重要なポイントになります。しかし、ナンピンを使ってしまうと、その重要なポイントを見失いかねないため、危険性がとても高いと言われているのです。
投資においてメンタルを強く保つことは大切ですが、実際に取引をしている際に維持し続けることはなかなか難しいかもしれません。その場合は、感情に任せて無謀な取引を行わないように、取引回数をルール付けしておきましょう。
ナンピンを使って取引した場合でも、損失総額が最大でも資金全額の数%ほどに抑えられるように、取引計画はしっかり立てた上で取り組むように心掛けましょう。
(3)重要なのはタイミング
例えば、経済指標の発表タイミングとナンピンを仕掛けたタイミングが被ってしまったとしたら、負ける可能性は高くなります。なぜなら、経済指標の発表前後というのは、トレーダーたちが相場を予測したり、発表結果に影響されて売買するため、相場が大いに荒れることになります。そのため、相場の先行きが見通しづらくなり予測がつきにくく、ナンピンを仕掛けるには適してはいません。
また、ナンピンを仕掛ける際に知っておきたいのが、通貨の相関です。通貨の相関関係とは、例えばユーロ/ドルとユーロ/円はどちらもユーロが含まれているため、ユーロに関連して相場が大きく動く時は、それぞれのチャートが同じ動きをするというパターンのことを言います。このことから、為替取引では自分のエントリーした通貨ペアの相場が予測と反対をいく場合、実は相関関係にある通貨が急激に変動していたなんてことが後から分かる場合も大いにあるのです。つまり、ナンピンを使う場合には、選択している通貨ペアだけではなく、関連する通貨情報についてもしっかり把握しておかなければ、勝率を上げることはできないのです。
このように、ナンピンを使う場合はタイミングを見計らうことが最も重要です。タイミング悪くエントリーしてしまうと、せっかく待ちに待ったチャンスを失ってしまうことになり、とてももったいないです。
急激な相場の変化は、相場への理解を深めることで回避できることもあります。ナンピンを使う時は、目の前のチャートだけでなく、経済指標や関連情報にも意識し、視野を広く持つことを心掛けましょう。
4.まとめ
ナンピンは、使い方を間違わない限り、バイナリーオプション取引において有効な手法であることは確かですが、リスクの方が大きいように感じます。
そのため、以下にあたる人にはナンピンはおすすめされません。
- 初心者
- メンタルが弱い
- 自分の取引に自信がない
ナンピンを使うためには、まず勝率の高い取引方法を確立させ、根拠のあるエントリーができるようにならなければいけません。そもそも自身の勝率が利益を得られるほどになければ、ナンピンをしても利益を上げることはできません。ナンピンを取り入れる目的としては、損失から利益へ変えるのではなく、利益が出ているのをさらに増やすという視点であるべきだと個人的には思います。
取引の考え方としてはシンプルなため、誰でも手を出しやすい手法ではありますが、安易に始めてしまうと損失額を多大に増やし、大きな打撃を受けてしまい、バイナリーオプション取引を継続することはできなくなってしまいます。
ナンピンを利用する際には、メリット・デメリットをしっかり理解した上で、取り組むようにしましょう。