二者択一ルールの場合に利益を得るための手法として、マーチンゲールの法則というものがあります。
この取引方法はギャンブルではよく使われるもので、同じようにバイナリーオプション取引でも有効性があるのでは、と一部では議論されていたりします。
では、マーチンゲールを使えば、本当にバイナリーオプションを攻略することはできるのでしょうか?
今回は、その点について探ってみたいと思います。
1.マーチンゲールって何?
そもそも、マーチンゲールが何なのかを詳しく見ていきましょう。
マーチンゲールの法則とは、負けてしまっても次の投入額を前回の倍額にし続けることで、1回でも勝った時には負けた分を丸ごと取り戻せるという法則を言います。
カジノなどではよく使われる手法で、勝率50%、配当が2倍の賭け事によく利用されています。
マーチンゲールでは、勝つまで取引を続けることが前提であることから、理論上は負けることがない手法であるため、バイナリーオプションでも有効性があると言う人もいます。
2.バイナリーオプションで使うとどうなるの?
では、実際にバイナリーオプションで使った場合に損益はどのようになるのでしょうか?
先ほどマーチンゲールをよく利用するのは、勝率50%、配当2倍の賭け事であると紹介しましたが、バイナリーオプションは勝率50%はクリアしているものの、配当2倍というのはクリアされていない場合が多いです。
国内業者を使った場合にはペイアウト率が固定ではありませんし、海外業者で有名なハイローオーストラリアでも、ペイアウト率1.80倍~1.95倍が基本のため2倍には届きません。実際に試算した場合、配当2倍以下だと勝ちが続いたとしても全体の損益としてはマイナスになってしまいます。
もしハイローオーストラリアのハイロースプレッド取引を使うのであればペイアウト倍率が2倍となりますが、スプレッドの発生により勝率が50%いかない場合もありますので、マーチンゲールを使う環境としてはあまり推奨されません。
この解決法としては、ペイアウト倍率が2倍以下の場合には、エントリー金額を調整することでマイナスを抑えることはできます。しかし、資金がその分多く必要となりますので注意しましょう。
また、もしエントリー金額を調整しないのであれば、例えば初回のエントリー金額1,000円でペイアウト率を1.88倍とした場合、マーチンゲールを使うなら3回目で勝たなければなりません。なぜなら、試算すると4回目以降は損益がマイナスとなってしまい、取引を続けていってもマイナスが大きくなる一方だからです。せっかくマーチンゲールを活用しているのに、損失が増えてしまっては本末転倒です。
しかし、バイナリーオプション取引で必ず3回目で勝つというのはなかなか難しいことです。二者択一であることから勝率50%をスタートとして、3回目の取引で連敗する確率は12.5%となり、4回目の取引では6.25%となります。数値で見るととてもハードルが低く見えるため、3回目までに勝てるだろうと思いがちですが、実際にバイナリーオプションで取引をしてみると4回以上連敗してしまうことはよくあることです。普段勝率70%以上を出している玄人であっても、連敗してしまい損失を出す日があることも珍しくはないのです。
バイナリーオプションでは、多い時には10回以上連敗してしまうことも、可能性としては十分にあります。そんな状況でマーチンゲールを使ってしまっては、あっという間に資金を溶かしてしまいます。そうならないためにも、マーチンゲールの法則を頼りきらず、自分でエントリーチャンスを見極める力と、資金管理の徹底をしなければならないのです。
3.マーチンゲールは攻略法になりえるのか?
(1)資金がある人向け
マーチンゲールの特徴は、投入額を倍々に増やしていく仕組みであることは既にお分かりかと思います。
これは、資金が少ない人にとっては実践しにくい手法であると言えます。
単純計算で初回のエントリー金額を1,000円とし、5回連敗が続いてしまうと必要な資金額は63,000円となります。10回連敗が続いた場合には、1,023,000円と膨大な金額に膨れ上がります。つまり、そもそも100万円以上資金を準備しておかなければ実現できないのです。資金が有り余るほどあるよという人は良いのかもしれませんが、そういう人は少数派であると思います。
資金はそれほどないけど、どうしてもマーチンゲールを使いたいという人は、初回のエントリーから3回目まで連投した場合の総額を、全資金額の10%以内にするのが資金が底をつかないための解決策です。
マーチンゲールは、結果として1度勝てばそれまでの損失はすべてチャラになるわけですが、その前の段階で資金が底をつくという大きなリスクも同時に認識しておかなければならないのです。
(2)エントリー金額の上限に注意
マーチンゲールを使って取引をしていると、一度にエントリーする金額がどんどん増えていきます。たとえ資金を多めに持っているからずっと取引を継続できるとしても、バイナリーオプション業者では一度のエントリー金額に上限を設けているため、いつまでもマーチンゲールで取引することはできないのです。
海外業者で最も有名なハイローオーストラリアを例にとってみると、1回のエントリーでの上限金額を20万円としています。そのため、マーチンゲールで取引する中で1回のエントリー金額を20万円以上にする必要が出てきた時は、同時に何回もエントリーしなければならなくなります。エントリー回数が増えれば、それだけ負ける可能性も高くなるということです。回数が増えても勝つためには、確実なエントリーチャンスを見つける労力が必要となりますし、相場を人一倍理解していなければなりません。
単にマーチンゲールをすれば勝てると思い込んでいる人は、バイナリーオプションで成功することは難しいでしょう。マーチンゲールで成果を出すためには、同時に安定した勝率を保てる自身のスキルが必要となるのです。
(3)負けることへの危機感を失う危険性
バイナリーオプションで稼ぐために重要なのは、勝つことよりもいかに負けを作らないかということです。テクニカル分析を駆使してエントリーチャンスを見逃さず、ここぞという根拠を掴んだタイミングを狙って取引するのが一般的なバイナリーオプションの取引方法です。
しかし、マーチンゲールの法則を取引方法に取り入れることで、根拠のあるエントリーに拘る気持ちが薄れてしまう人も少なくありません。どうせ連敗しても最終的に1回予測が当たれば勝てると思ってしまうため、一回一回のエントリーをおざなりにしてしまうことが考えられます。これが癖になってしまうと、どんどん根拠のあるエントリーをするための知識や経験から離れていき、バイナリーオプションがギャンブル化してしまう原因となってしまいます。
負けて資金を失うことがどれほど大変なことか、そういった気持ちを見失ってしまっては投資をしているとは言えません。このようにマーチンゲールでの取引は、心理的にもリスクが高いものだと言えるのです。
(4)口座凍結のリスクがある
バイナリーオプションをやっている人の中には、海外業者のハイローオーストラリアを利用している方が多くいます。
このハイローオーストラリアでは、マーチンゲールを使って取引をし続けると口座が凍結されてしまうといったことが起こります。なぜなら、ハイローオーストラリアが示す禁止事項の中に、ブラックボックス取引に関することが載っており、このブラックボックス取引がマーチンゲールの法則を利用した手法だったため、禁止事項の中にマーチンゲールという記載はないものの、イコールであると認識されてNGとなっていると言われているからです。
ネット上でも、マーチンゲールで取引し口座凍結になったトレーダーの報告は多いため、ハイローオーストラリアでマーチンゲールを使った取引をすることはやめておいた方が無難です。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
バイナリーオプションでマーチンゲールを使った取引を行うことは、とにかく高リスクであることがお分かりいただけたかと思います。
1回でも勝てば損失がゼロになると聞くと、手を出したくなる手法ではありますが、資金も溶かしやすいですし、体感的な取引になりやすいため、長期的に考えると着実に利益を出すことは難しい方法であると思います。
バイナリーオプションで稼げるようになるためには、小手先のテクニックだけでは通用しません。そのため、マーチンゲールの法則を取り入れることを考える前に、まずは自分の実力を省みる必要があります。焦らず勝率の高いエントリーができているのか、本当に資金に余裕はあるのか、そもそも投資に関する知識は十分に得られているのか、自分の今の状態をしっかり把握してから次のステップにチャレンジするようにしましょう。
ちなみに、マーチンゲールの法則を使った自動売買ソフトや、マーチンゲール前提の勝ち方レクチャーなどさまざまな商材が世に出回っていますが、あまりおすすめできるものではありません。投資をするならば、他力本願で稼ごうという気持ちは捨てた方が良いです。
安易にマーチンゲールを使って資金を失い、バイナリーオプション自体をやめなければならなくなる前に、マーチンゲールの良い点・悪い点を正しく認識し、自分に合った取引方法かどうかをしっかり判断しましょう。